この項ではミストタイムズ雑誌版の内容について紹介していこうと思います。
さて、ここでミストタイムズとはまず何であるのか説明したいと思います。ミストタイムズ雑誌版とは一言で言ってしまえば「同人誌」という奴でございます。同人誌と聞いて退かれる方もいるかもしれませんが、今はそういう偏見を捨てて見て下さい。1990年代初頭の夏、当時、東京都内某所にあるインチキ臭い学校で、これまたインチキ臭い生徒数人が授業中に教科書やノートに落書きを始めました。ここまではよくある話ですね。彼ら落書き小僧達は教科書やノートにいたずら描きをしているうちにそれだけでは満足できないようになってきました。そこで全く別の紙を使用して新聞形式にして、彼らはこれを「ミストタイムズ」と名付けたのであります。これがミストタイムズの原型なのです。
その年の2学期にはいるとますます彼らのやることはエスカレートしていきました。彼らはワープロという手段を得て、ワープロでミストタイムズの作成を始めました。また載せるネタも、学校内の様々な噂や全くの作り話も載せるようになり、紙1枚ではとても載せられないほどの記事が集まるようになりました。そのような事情もあって、翌年の春、ミストタイムズは新聞という形態から雑誌という形態をとることにしました。ここに世に言う「ミストタイムズ」が登場したわけです。
残念ながら新聞時代のミストタイムズは全て現在では行方が分からなくなっており、我々がその内容を見ることはできなくなっています。雑誌版ミストタイムズは通算6号まで発表されました。号を重ねていくごとにその内容はより怪しいモノへと変化をとげていき、記事のジャンルも豊富になっていきました。しかし、第7号の制作の途中に編集部全員がその前に立ちはだかる大学受験という壁にぶち当たり、これ以上の制作が無理になってしまい、ついに第7号は発表されることなく、ミストタイムズも自然と廃刊状態になってしまいました。
しかし、これでミストタイムズの歴史は終わりではありません。彼らはその頃注目を浴び始めていたインターネットに目をつけ始め、そこにミストタイムズを発表する計画を立てました。紆余曲折の末、ようやくここにミストタイムズWeb版が誕生したのです。めでたし、めでたし。
ミストタイムズ雑誌版(以下この項ではカナ表記でミストタイムズと呼びます。)は第1号から第6号まで発表されています。なお、中身を公開するのはあまりにもヤバすぎる記事ばかりなので、ここでは主要記事の見出しを記載するにとどめておきます。見出しだけでもヤバい記事もあるのですがそれはさておき。それぞれの号の解説を見ていきましょう。
主な記事
解説
記念すべきミストタイムズ第1号(1993夏の号)は1993年6月12日に発行された。これが発表された当時、ミストタイムズはごく一部の人達の間でそのあまりの面白さの故、一大旋風を巻き起こしたことは言うまでもないだろう。また、一人の同級生をネタにして、さらに、頼みもしないのにその同級生自ら記事を書いて来るという、ここまで普通やるかと多くの人が呆れることとなった。まさにその通りなのであるが、彼らミストタイムズ編集部の有り余るパワーは1号だけでは収まらず、夏休みには第2号の制作に入るのであった。
主な記事
解説
ミストタイムズ第2号(1993秋の号)は1993年9月13日に発行された。第1号から夏休みという期間を経て発行されたものであるだけにどうもネタが少しトーンダウンしているところが今となっては惜しまれる。完成度も第1号に比べると落ちてしまった感が否めないが、この号では新たな試みに多く挑戦している。付録である。しかもいきなり3点セットという超豪華版である。この号での試みは第3号以降で開花するのであった。
主な記事
解説
ミストタイムズ第3号(1993冬の号)は1994年1月X日に発行された。当初は1993年中に発行する予定だったが、記事がなかなか集まらないなどのよくあるトラブルで発行が延び延びになってしまったのだ。内容的には第2号の発行以後、京都・奈良への修学旅行など様々な行事があったので、それまでの号に比べてかなり充実したものになっている。また、表紙に写真を使い始めたりとレイアウト面でも格段の進歩が見られ、全体的に洗練されつつある過渡期に発行されたのがこの第3号と言えるだろう。
主な記事
解説
ミストタイムズ第4号(1994春の号)はミストタイムズの歴史の中でもまさにエポックメーキングな内容であったといえるだろう。それまで、MTは一人の人物の記事を中心にして展開するという趣旨であったが、この号では初めて他の人物を特集に挙げている。ちなみにこの号からミストタイムズは意味のない記事をモットーと仕始めている。
主な記事
解説
ミストタイムズ第5号(1994夏の号)は1994年7月に発行されたミストタイムズの中でも最高傑作といえる号である。まず何と言っても「タブーに挑む大型企画 校長の真の実力」であろう。この記事はまさにMT史上最強の記事と言ってもよい。後半には「汗と涙のドキュメンタリー 学園祭&運動会廃止へ向けてのひたむきな挑戦」が控えており、この二つが二大重大記事としてそびえ立ち、そこに「オタクの条件」や「ショートコント集」などがそれをサポートし、「魂の叫び」が独自の輝きを放っており、「チケット情報」で一本とられるという充実の号だ。さらに付録も素晴らしく、別冊付録としてミストタイムズノベルズがついているというのが特筆に値しよう。
主な記事
解説
ミストタイムズ第6号は1994年12月22日に発行された。ミストタイムズ雑誌版の最後になってしまった号である。この頃になると、MT編集委員それぞれが非常に忙しくなってきてしまい、その事が記事の編集方針などにも現れ始めている。特集などにはかなりの力が注がれているのが見受けられるが、少し第5号などに比べると少しテンションが落ちている。それはともかく特筆に値する記事も多い。「カメラは撮った!特報王国!」は写真を多用してビジュアル的に分かりやすい紙面構成になっているし、「異種格闘技戦」にはある意味でその次の年に起こること(1995年、この年はある面で戦後の日本のあり方を考えさせられる年になった)を予言めいたものを感じさせる問題記事だ。堅い話は抜きにして、内容も成熟して純粋に楽しめるのがこの号の特徴といえるだろうか。